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作品のできるまで3 「布を貼る①」


基礎となる形も出来上がって漸く布を貼るところまで来ました。

今回使った素材は全てシルクなので糊染みを防ぐため全て裏打ちしてから使いました。

主に使う絹織物のほかに、黒のシルクサテンと山吹色の薄手の地模様のある絹地を合わせています。


織物の地の黒とぴったり合うサテンを探すのは結構大変でした。シルクサテンも厚みは様々ですし、黒の発色も様々。探し続けてようやく漆黒の、厚みのある理想の美しいシルクサテンの生地に巡り合いました♪

織物の地の部分と色も質感もぴったりでまるで同じ生地のようです。













そして、当初は合わせる生地は黒のみと思っていたのですが、作り出すとやはり全体が暗くなってしまって差し色をプラスした方がいいと思ったので織物の模様のマーガレットの花芯の黄色を加えることにしました。

何種類かの黄色が使い分けられていたので、今回は濃いめの山吹色に決めました。黒のサテンに続いてまた山吹色の生地探し。

地模様のある素敵な山吹色の絹地を探し当ててひと安心。この地模様、鼓の柄でとても美しくて、屏風の裏張りにもこの模様が生きるように使っています♡


今回は通常と違う厚みのあるカルトンを使っているので角処理を始め何かと処理は神経を使いました。普段やり慣れていないことなのでそこはモデルを作って試してから処理していきました。

一番時間を費やしたのはキャビネットのトレイ仕立ての天板です。

土台のビゾーカットでもかなりの時間を費やしたところです。




先ず厚みに山吹色の絹地を張り、次に黒のシルクサテンを貼りました。

平らな部分と両端のカーブした部分を別々に貼ることも可能なのですが、せっかくのカーブですから美しいシルクサテン一枚で貼りたかったので試行錯誤致しました。

さらに、カーブ部分に布ののりしろを折って貼ると、端にのりしろの線ががくっきりと出てしまいますのでそれをカバーする方法も模索しました。

通常はのりしろにケント紙を挟んで目立ちにくくするのですが、今回は角を落として丸みがあるのでケント紙は使えません。いろいろな素材で試しましたがこれでいけそう、と思っても実際貼ってみると案外ダメだったり、・・10回は貼り直したかも知れません。

一時はもうここはある程度妥協するしかないかも知れないと諦めかけましたが、漸く柔らかくてカーブに沿い、しかものりしろの線もカバーできる素材を見つけてうまくいき、本当に安堵しました。


こういう作業をしていると心が折れる余裕すらなく、とにかく止めるか前進するしかありません。



天板上部は中央に窓を開けてさらに曲線の装飾も施しているのですが、山吹色の絹地を貼ったこの装飾フレームを四角い窓に均一の巾で覗かせるのが結構大変で、納得がいかず何度も作り直し、張り直しをしました。

こういう細部で妥協すると後で自身で後悔するのがわかっているのでとことん納得するまでやり直します。




キャビネットの扉に花が密集している柄を持ってくるとすっきりしないので無地場の多い部分を持ってきて、左右の側面に全面花柄が出るようにしました。

左右には天板とお揃いの山吹色の絹地の装飾フレームを貼っています。

後は黒のサテン地ですっきと。

後から見たところ

屏風は以前作品展に出品した作品で一度製作の経験があったので比較的スムーズに作業が進みましたが最後に落とし穴が!



次回に続きます



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