楽しみにしていた「KING & QUEEN展」を観に東京・上野の「上野の森美術館」に行ってきました。
「KING & QUEEN展」は肖像画の専門美術館であるロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリーの所蔵品から、英国のテューダー朝から現在も続くウィンザー朝までの王朝の王、女王とその関連する人物の肖像画を約90点集めた美術展です。
新型コロナウィルス感染拡大防止策として美術展はどこも日時予約制を採っているところが多く、この展覧会も基本日時予約制となっています。
肖肖像専門美術館ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリーより、テューダー朝から現在のウィンザー朝まで、5つの王朝の貴重な肖像画・肖像写真など、およそ90点が来日します。像専門美術館ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリーより、テューダー朝から現在のウィンザー朝まで、5つの王朝の貴重な肖像画・肖像写真など、およそ90点が
2017年に同美術館で中野京子さんの「怖い絵」第一巻刊行10周年を記念して開催された「怖い絵展」も記憶に新しいところですが、今回も同氏が展覧会のナビゲーターを務めていらっしゃいます。
中野さんが関わっているのですから、ただの肖像画展ではないのは想像がつきますね。
中野京子著「名画で読み解くイギリス王家12の物語」(光文社新書)も同展の公式参考図書となっています。
「怖い絵」シリーズが大好きで、中野京子さんの著書は殆ど読んできたので、この展覧会はどうしても外せませんでした。
○○美術館展のように各美術館の有名な所蔵品を目玉としていたり、画家個人や「○○派」の作品を集めましたという従来の美術展とは全く違い、肖像画を通じてその背後にある歴史や逸話を読み解こうというテーマ性のある美術展なので奥深い楽しみ方ができるのが魅力です。
中でも注目を集めていたのはやはり「ヘンリー8世」でしょうか。
妻との離婚のために離婚が禁じられていたローマカトリック教会を離脱し、自らが首長となるイギリス国教会を設立したことで有名ですね。
6人の妃を娶り、そのうちの2人を処刑してしまった冷徹な国王でもあります。
その改宗のきっかけとなった女性アン・ブーリンの肖像画も。
エリザベス1世の母でもあります。
映画「ブーリン家の姉妹」でナタリー・ポートマンが演じたその人です。
国家宗教を改宗してまで結婚したというのに、彼女はいわれのない咎で処刑されてしまいます。
処刑されたロンドン塔ではアン・ブーリンの幽霊の目撃譚が後を絶たないとか・・。
そして母親が処刑され一時は庶子に身を落としていたにも拘わらず王位を継ぐことになった強運の女王エリザベス1世の肖像画も。
生涯結婚せずに「処女王」と言われた女王の首からは処女性のシンボル・真珠のネックレスが。
驚きなのが肖像画は何とエリザベス1世が70歳近い時に描かれたものだとか!
会場には史実や逸話を説明したパネルもありますが、事前にある程度英国の歴史を予習してから観に行くとよりこの美術展を楽しむことができると思います。
ちょっと残念だったのが、ヴィクトリア女王の肖像画が高齢になってからのものだったことです。
ドラマ「ヴィクトリア」を見ていたせいもあるのですが小柄で可憐なヴィクトリア女王の肖像画を見たかったです。
でもこちらの「王家の日常生活」という作者不詳の素敵な絵が展示されていました。
仲睦まじかったことで有名なヴィクトリア女王と夫のアルバート公のファミリーの日常が描かれています。
初めて結婚式で白いウェディングドレスを着たのもヴィクトリア女王なら、クリスマスツリーを飾る習慣をイギリスにもたらしたのもドイツ出身のアルバート公というように、このロイヤルファミリーの幸福な逸話は数多くありますね。
近代になると、肖像画と並んで写真も多くなってきます。
勿論現在のエリザベス2世とそのファミリーの肖像画や写真も展示されていました。
「王位をかけた恋」のエドワード8世とシンプソン夫人、ダイアナ妃、キャサリン妃、メーガン妃までも・・。
「怖い絵展」のような衝撃性はありませんでしたが、肖像画を通じて長い英国王室の歴史や興味深いエピソードを知ることが出来、とても楽しかったです。
「KING & QUEEN展」は東京・上野「上野の森美術館」で2021年1月11日までの開催です。
記事内容の一部は中野京子著「名画で読み解くイギリス王家12の物語」(光文社新書)を参考にさせて頂いております。
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